⑪高野世継観音道標 ・・滋賀県近江八幡市馬淵町
寂室禅師が永源寺に住まわれた際、夜毎にお寺の東の峰から光明が放たれ、禅師がそこをお訪ねると、大きな石の上に丈一寸八分(約5cm)の小さな観世音菩薩の像があった。禅師は「これはかつて海上で難をお救い下さった観音様に違いない」と深く感嘆し、中国から仏師をお招きし、かつて修行した中国の土で観音像を作らせ、その像の額の宝冠の中に、件の小さな霊像を納めて御本尊とされた。後に近江守護職佐々木氏頼公の子、満高公が跡取りに恵まれず、この観音に毎夜一心に祈願をされたところ、夢にお告げがあり、やがて世継を授かった。以後誰が言うともなく「世継観世音」と呼び讃えられるようになった・・と伝わる。
道標には「高野世継観音道」と刻まれている。永源寺はこの道標から東に20kmほどの地にある。
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